東家に八十七歳のおばあさん。口癖は「私これしかないの。マージャンが生き甲斐なの」。
南家に九十七歳のおばあさん。開局前のひと言。「あんた、ばあさん達とマージャンやって楽
しいのかい?」。北家には九十四歳のおばあさん。「最近、手首が痛くて。マージャンだと我
慢できるんだけど」とのこと。西家が私。彼女達から見れば息子、いや孫世代か。
マージャン大会中、偶然の組み合わせによって出来た卓。
東家からリーチが入る。だからと言って、南家も北家も摸打のリズムは全く変わらない。数
巡後、北家の打牌に東家からロンの声。よどみない点数申告。「はいどうぞ」と点棒を渡す北
家。そっと手牌を伏せる南家。3人とも笑みををたたえている。終局後に教えてくれたのだが、
このとき北家は混一色のテンパイ。南家にいたっては、四喜和をテンパイしていたという。
「なんだこの人たちは!」
真剣勝負の中に生まれた崇高なコミュニケーション。性別不問。世代を越え、国を越えて愛
され続けている理由。そのほんの一部を垣間見た。
〝マージャンと日常〟。
単純な勝ち負けではなく、その過程、そしてその先にあるもの。
マージャンを通して育てられ、磨き上げられた人間力。
それらの一部分でも伝えられることが出来ればと願っております。
偉大なる作家、阿佐田哲也先生を偲んで。
雀聖アワー
福山 純生
・漫画、雑誌、書籍編集
・マージャンイベント制作
・マージャン教室運営
・マージャン大会プロデュース
・マージャン関連グッズ制作 他
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